情報生命博士教育課程の特徴
本教育課程では、21世紀の社会を支える生命健康科学を牽引するために、生命科学の一流の専門家でありながら最新の情報科学を道具として使える人材、または情報科学の一流の専門家でありながら生命科学の方法論と思考を理解する人材を養成します。
選抜された生命系の学生に対して情報科学の基盤知識と実践の教育を、情報系の学生に対しては生命科学の基盤知識と実践の教育をそれぞれ行うのみならず、これら背景の異なる学生がチームを組んで様々な問題解決に挑戦することにより、異分野の専門家が言葉を探り合いながら協調し、互いの強みを理解し、成果に到達する体験を繰返し共有します。
現在、世界的な健康長寿社会の実現に向けて、人々のQuality of Life の向上を支えるために様々な技術が結集しつつあります。創薬、食品、化学、医療機器・診断等の分野は互いに連携しあい、そこにIT化や精密計測技術が融合して新たな研究開発の潮流、新たな市場の可能性が高まっています。その変化は単なる自動化・IT化に留まらず、大量データからの推論や、生体や細胞をシステムとしてとらえた演繹的シミュレーション等、生命科学の方法そのものに対する根本的な革新のうねりになりつつあります。
しかし、わが国においては生命系と情報系の教育は学部教育時点から大きく分断されており、複合領域で柔軟に活躍できる人材を組織的に養成することは行われてきませんでした。小規模な学際分野での人材養成プロジェクトは存在しましたが、社会がまさに要求する“生命健康イノベーション”を実現するにはライフサイエンスの広い領域において、情報科学を使いこなせるリーダーを輩出する必要があります。
そこで、本教育課程では東京工業大学の持つ総合力を活かし、生命と情報の複合領域を目指す博士課程学生に、従来の大学院教育だけでは不足しがちであった以下の3つの能力を涵養するための機会と経験を効率的に与え、次世代の“生命健康イノベーション”を担うリーダー人材として輩出します。
1.生命科学と情報科学の両者を理解する力を持つこと
2.自ら問題を発見し、大量の情報の中からその本質を見抜き、正しい決定をする力を持つこと
3.優れた異文化コミュニケーション能力を磨くこと