文部科学省博士課程教育リーディングプログラム事業による支援期間の終了に伴い、平成29年度3月末に学内組織としては廃止された情報生命博士教育院のWEBページです。
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教員・学生の声 東田 英毅、大野 一樹

博士(工学)東田 英毅、博士(工学)大野 一樹

 

Q まず最初に、情報生命博士教育院(ACLS)に参加された経緯についてお聞かせください。このリーディングプログラムに参加することを決めた動機について教えてください

生命と情報、両方の分野がわかる人材を教育することが重要だと考えました

大野:前職(アステラス製薬株式会社・主任研究員)で、顧みられない熱帯病と呼ばれる、発展途上国に患者さんの多い病気の治療薬を作る共同研究に参加しました。その共同研究プロジェクトには東京工業大学をはじめ7機関が参加しており、ACLSの中では秋山泰先生や関嶋政和先生が参画されております。その共同研究がご縁となり、ACLSへ誘って頂きました。

 私が携わっている健康・医療の分野では、ITを活用した製品やサービスに大きな注目が集まっており(「ヘルスケアIT」、「モバイルヘルス」)、大きく成長する産業分野の一つだと予想されております。この新しい分野で活躍を期待されているのは、ACLSの提唱する「Γ型」の人材だと考えています。産業界にとって貴重な人材の育成に協力したいと考え、産業界若手メンター制度のもとで特任准教授として参加しました。

東田:産業界若手メンター制度ができた時に、林宣宏先生から「こういうプログラムができたけれど、どのように思いますか?」と意見を求められたのが、ACLSを知ったきっかけです。ACLSのプログラム責任者である関根光雄先生とは、自分が学生時代から交流がありました。林先生、関根先生からお誘いを受けたのが直接的なきっかけです。

 私の専門は、分子生物学です。すでに学生時代には、ゲノム解析が始まっていました。生命科学の世界でも、情報の知識が必要、とされていた頃です。そのため、ある程度までは独学で情報のことを勉強していました。企業(旭硝子株式会社)に入ってからも、自分のラボで「生命と情報の双方の知識を持っている人が必要だ」と考えていたのです。お誘いを受けた時に、双方の分野を知っている人を教育することの必要性や大切さを感じて、ACLSに参加することを決めました。

 

 

Q 生命科学と情報科学の両分野を同時に学んでいくことは大変ではありませんか? その大変さを乗り越えるだけの意義は、どんなところにあるのでしょうか。

分野の違いを乗り越えていける人材が、社会に必要とされています

大野:確かに、両分野を同時に学ぶのは非常に大変ではある、と思います。生命科学は例外事象を大切にする学問という言い方ができると思います。例えば、新しい種が見つかったら、それを一つの「発見」として研究の対象としていきます。一方で情報科学は、いろいろな例外事象をシンプルな論理で説明できるように「統合」していく学問と言えます。両者は考え方がまったく別物です。ですから、違いを乗り越えて融合していく、というのは本当に大変だと個人的には思っています。

 けれども、そこを乗り越えていけるような人材が、いまの社会では必要とされています。自分の専門でない分野に取り組んだ時でも、その違いを乗り越えていけるような力。それが大切になっているのです。

東田:同感です。一口に「分野」と言っても、実は2種類あると考えています。一つはインフラのように「誰でも身につける必要がある」という意味での分野です。日本語、数学、英語、そしてパソコンの使い方、というようなものですね。さらにその上に、生命科学や情報科学のような学問体系があると考えています。

 いま社会で求められているのは、後者の学問体系を知り、異分野とのシナジーを生み出せる「現場力」です。たとえば、生命科学の世界に情報科学が専門の人が入ってきたときに、受け入れる側(=現場)も情報のことが分かっていないと良い効果は生み出せません。異なる分野の考え方を知っている、身につけている、そして違いを乗り越えられる人が求められているのです。そのような「Γ型」人材は、いま現在、すでにいくらでも必要とされています。先日もある研究会で企業の方と話す機会があったのですが、どの企業も「できる人がいないから、どうしようか」と頭を抱えていました。今後も、もっともっと必要とされていくと強く感じているところです。

 

 

Q 社会で必要とされている「ガンマ型」の人材を育成するのがACLSの目標だと伺っています。では、ACLSのプログラムの魅力は、どのようなところにあるのでしょうか。

同じ意志を持つ、異なる分野の方と交流できるコミュニティです

東田:いくつもあります。自分が学生だったら、絶対に参加しているでしょうね(笑)。
まず、異分野の人と交流できるというのが非常に大きいですね。生命科学も情報科学も、ある意味で一般社会になかなか溶け込めない分野です。どちらも先端の研究が進んでいて、一般社会に知られる前にドンドン先に進んでしまっています。専門の用語も多く、理解されづらい。「情報科学=オタク、生命科学=魔法」のように思われている側面があります。ACLSで異分野の方と密なコミュニケーションを取ることで、自分の専門以外のことをテーマにしている人に分かりやすく伝えるトレーニングができると思います。

 また、今の産業界や社会が何を求めているかが分かる機会が多いことも、ACLSの魅力だと思っています。大学の中にいるとなかなか分かりにくいことを「産業界若手メンター制度」などを利用して実際の企業で活動している人と交流することで、そこが分かります。自身の将来を考えていく上でも、意味があると考えています。

大野:ACLSというコミュニティのあり方に、大きな魅力があると感じています。先生もスタッフも、そして学生も、「融合領域で何か面白いことをやっていこう」という意識は共通しています。それでいて、各々が研究している分野や考え方は違う。そこが魅力です。

 東田先生と同じく、産業界若手メンター制度にも大きな魅力があると考えています。学生時代に考えていたキャリアと、実際に自分が歩んできた道は違っています。どういうキャリアの歩み方があるのかを見られる、見せられるのは、自身にとっても学生にとっても意義があると考えています。

 さらに言うと、事務などのスタッフの素晴らしい熱意も稀有な魅力ですね。ACLSは教員だけではなく、事務スタッフの方も、「社会に役立つ人材の育成をしなくてはいけない」というパッションを持っていて、それが学生にとっても大きな刺激になっているように感じます。学生がスタッフの熱意に触れ、学生も「自分はすごいことに参加しているに違いない」と思えるはずです。

 

 

Q 特任准教授として、どのような活動をされていますか。企業の一員、そして研究者としてのご自身の時間と、教員としての時間の配分は大変ではありませんか。

時間などの制約はあるけれど、それを乗り越えられるだけの価値を感じています

東田:講義に関しては「企業社会論」や研究室のセミナーで年数回担当しています。また、研究室では毎週学生からの進捗状況を聞き、アドバイスしています。メールなども活用して2日に1度は学生とコンタクトしています。正直に言って、時間などのやりくりは大変です。ACLSに参加することを会社は快く認めてくれましたが、ACLSだけに専念するわけではなく、会社での仕事も同じように進めています。時間や場所の物理的制約はありますから、両者をうまく進めるには難しいところもあります。

 けれども、その大変さを乗り越えられる価値が、ACLSにはありました。自分自身はもとより、会社にも産業界に対してのメリットは大きいと思っています。実業としての意識を持った学生を育て、逆に学生の視点を持った産業界の方も育てていけるからです。ACLSで教育という分野にまで踏み込んで関わることができたのは、大きかったと感じています。

大野:講義や学生のサポートの他には、「メンターの夕べ」などのイベントに参加しています。大変さは感じていますが、それ以上の価値がある、と言う点では東田先生と同じです。何より優秀な学生との交流からは大きな刺激を受けることができます。また、メンター同士の交流から、仕事に関して情報交換ができる関係を作り出せたのも大きいですね。

 また、自身のキャリアを考えるきっかけを作ってくれたのもACLSでした。学生に自分のキャリアについて話すことで自分自身の考えを整理できましたし、それが、自身の起業にもつながったのだと考えています。

 

 

Q ACLSへの参加を考えている方に、一言アドバイスをお願いします。

社会的に大きな価値があるプログラム。参加することで得られるものは大きい

大野:直接的なメリットや損得というより、ACLSには大きな社会的価値があり、そこに参加することの楽しさ、面白さがある、と強く感じています。先ほど言った「融合領域で面白いモノを生み出していこう」という熱意や活気が、ACLSにはあります。社会に対して貢献していくものに参加しているという意識。それが、ACLSの魅力ですし、このプログラムの価値だと思います。そして、同じ価値を共有する人で作られた、素晴らしいコミュニティになっています。同じように感じられる人に、ぜひ参加してほしいですね。

東田:せっかく良い仕組みがあるんだから、参加しない手はない、と思いますね(笑)。メリット/デメリットではなく、楽しいという直感的なところで動いてドンドン参加すればいい。それが自分自身の方向性を広げることにもつながります。ACLSには、参加者からの提言を受け入れて対応していく柔軟性の高さがあります。面白そう、楽しそうという感覚で参加して、積極的に自身の方向性を広げていくようにしてほしいな、と思いますね。

大野:異分野の考え方を知り、交流していくということは、非常に貴重な体験だと思います。ACLSでそういう体験をできることは、大きな財産になると考えています。

※掲載内容は2014年11月のインタビュー時点のものです。

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