文部科学省博士課程教育リーディングプログラム事業による支援期間の終了に伴い、平成29年度3月末に学内組織としては廃止された情報生命博士教育院のWEBページです。
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教員・学生の声 梶原 将

理学博士 梶原 将

 

Q まず最初に、情報生命博士教育院(ACLS)に参加された経緯についてお聞かせください。このリーディングプログラムの意義はどのような点にあるとお考えですか。

社会のニーズに応えられる人材を育成する教育プログラムが必要です

梶原:大学における教育と実社会のニーズということについて、長年考え続けてきました。近年の高等教育において重要なことは、確立された学問を教えるだけでなく世の中に役立つような教育を行っていく、ということだと考えています。世の中のニーズは常に変化し続けています。教育の最高学府である大学として、伝統的な学問の領域を守ることと同じくらい、実社会のニーズに応えていくことも大切だと思っているわけです。

 そういう観点から、長年に渡って実社会と大学の架け橋になるようなプログラムに携わってきました。世の中ではどのような教育が求められているのか。ACLSがスタートする以前、文部科学省の大学院GPや、経済産業省とJBA(バイオインダストリー協会)のプロジェクトなどに携わり、この問題に対する経験と知見を積んできました。ACLSというリーディングプログラムが始まる時に、それらの実績を踏まえて発展させていく必要がある、と考え、参加することにしたわけです。

 また同時に、異なる専門分野の学問が融合していくということは、21世紀になってどうしても必要な部分だとも考えていました。たとえば、生物学と機械工学の知識を合わせることで、人間に対応するロボットを開発する。そういう部分が世の中で求められるようになっています。一つの分野だけでなく、異なる分野も理解しているような人が社会では必要とされているわけです。そこに応える形で人材育成を行うことも、大学のレスポンシビリティ(責任)であると考え、このリーディングプログラムに参加することにしたのです。

 ですから、学生にもその意義を知った上で参加してほしいと考えています。しっかりした研究者、技術者としてのキャリアを身につけ、実社会で活躍しようと思っている人。そういう学生にこそ、ACLSに来てほしいし、そのためのプログラムを用意しているつもりです。

 

 

Q 生命科学と情報科学の融合、というだけでなく、実社会のニーズと学問の融合も意識されているわけですね。ACLSは、それをどう教育していくプログラムなのでしょうか。

実際の社会で求められることは何かを体験できる機会を多く設けています

梶原:まず第一歩として、「キャンパスを飛び出す」機会を多く設けています。社会では何が求められているのか、どう動いているのかを知る、体験できる機会です。大学院の学生の多くは、小学校からずっと学術だけに取り組んできています。しかし、大学院から先は、社会に出て行きます。その前に、社会のことがある程度分かるようにしようと考えています。

 具体的には、企業での短期インターンシップを必修科目にしています。1週間に渡って企業の方と一緒に仕事をしたり、企業から与えられた課題を考えることで、社会のことが少し分かるようになります。もちろん、短期間の経験で企業や社会を掌握できるわけではありません。けれども、社会と接していくために必要なことは何か、を考えるきっかけにはなります。学生のアンケートでは「今までやっていなかった統計学に興味を持った」「特許についてもっと勉強してみようと考えた」などという言葉が返ってきます。このように、自分が知らなかった世界を体験し、考えるきっかけになることが大切だと思っています。

 大学院の学生は、どうしても「井の中の蛙」になりがちです。自分の専門領域、学問の領域に集中していて-それは悪いことではありませんが-社会という「大海」を知らない。そういう学生に社会を体験させることが、キャリア形成ということなのだと考えているわけです。

 

 

Q ACLSでは、海外での研修制度も充実していると伺っています。それも「実社会との融合」という目的から考えられたことなのでしょうか? 海外研修のメリットは?

世界を相手に仕事をできる人材を教育するための制度も充実しています

梶原:グローバル化が進んでいる今、社会に出て活躍しようと思ったら、日本の中だけでクローズしているわけにはいきません。世界を相手に仕事ができるような人材を教育する、というのも、私たちの目標です。もちろん、一言で「世界を相手に」と言っても、体験しなければできません。社会に出る前に、異国の理解や、異文化の人との付き合い方などを知っておく必要があります。そこで設けているのが海外研修制度です。

 ACLSでは、海外研修を必修としています。3ヶ月間以上、海外の大学や企業に行き、そこでさまざまな体験を行えるようにしています。どんな体験ができるかは、学生によって様々です。「行って良かった!」と帰ってくる学生もいれば、「自分は海外に向いていなかった」と帰ってくる学生もいます。私は、前者を「成功」、後者を「失敗」だとは考えていません。どちらも貴重な経験であり、その後のキャリアを考える時に「自分にとっての適性は何か」を判断する基準になると思うからです。ですから、全員が「行って良かった!」と思えるようなプログラムの作り方はしていません。全ては学生自らの行動によるのです。ただ、私たちは学生が海外で事故や事件に巻き込まれることのないよう、安全面に対するサポートはしっかりと行っています。

 もちろん、送り出す前の学生に最低限必要な能力を身に付ける教育は行っています。英語でコミュニケーションができるようにするための授業や、プレゼンテーションを行うスキルを身につけるなどの実践的な英語の授業を用意しています。また、海外に対してあまり積極的になれない学生などには、ある程度のスケジュールが決まっている派遣プログラムを提供することもしています。ある意味で「安心して"失敗"してこられる」ようにしているわけです。

 

 

Q 実社会を知り、海外を知る。その考え方を具体化したイベントの一つが「ビジネスプラン国際コンテスト」と伺っています。昨年度の内容について教えて下さい。

真剣に考え、深くコミュニケーションできるのがビジネスプラン国際コンテストです

梶原:このイベントは、実践的なビジネスプランを作り上げる体験をすることが目的です。事前に提示した複数の既存特許の中から一つを選び、それを商品化するために必要なことをグループで考えていきます。擬似的な起業をし、開発の方向性やステークホルダーの選定、販売方法の検討などを行います。最終日には実際に企業で研究開発部門や経営企画を担当している方を招いてプレゼンテーションし、評価してもらいます。

 昨年は、12月に神奈川県の川崎市にある研修センターで行いました。参加した学生は24名。4人ずつ6つのグループを組み、それぞれが競う形で行っています。日本人の学生が半数、海外の学生が半数です。各グループは日本人2人と、海外の学生2人で組みます。今回はアジアからということで、台湾、韓国、タイ、インドネシア、マレーシアの学生が参加しましたが、グループ分けの際には「英語以外の言語ではコミュニケーションできない」ように工夫をしました。そうすることで全員の共通語でのコミュニケーションの活性化を図ろうと考えたわけです。グループ分けは事前に行い、インターネット上ではかなり前からコミュニケーションできるようにしています。また、前日にはグループ間のコミュニケーションタイムも設けています。

 参加者は、あらかじめ自分のアイディアを検討し、それを持ち寄って2泊3日の間、朝から晩までずっとグループで協働します。学生のうちに実社会に近い形で真剣に考える、チームワークを生み出す、というのは非常に良い経験の場であると考えています。イベント自体は2年に1度の開催頻度で行おうと考えていますので、次年度以降の開催時には多くの学生に参加してほしいですね。

※掲載内容は2014年11月のインタビュー時点のものです。

関連Link

  
                       東京工業大学 生命理工学研究科          東京工業大学 情報理工学研究科          東京工業大学                

   
                       JSPS 博士課程教育 リーディングプログラム          東京工業大学 リーディング大学支援室